作品紹介 032 折檻部屋の風夏



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 『折檻部屋の風夏』

目次
転がり込む 6
媚びる 31
脱ぐ 45
オナニー 58
股裂き 70
散歩 81
謝罪 93
外飼い 118
クマキ 127
叩き 136
標的 155
遊戯 173
貸し出し 194
浣腸 204
嬲られ人形 214
手加減無用 231
便器 249
ドライブ 269
   奥付 295

51980文字
400字130枚



 行く宛のない風夏は自ら被虐の道に飛び込んでいく――

経営者だった父母が外国で心中し、華美な暮らしから恐ろしい人たちに追われる生活へ。
風夏は手持ちの資金もなくなり同級生の清美を頼る。彼女とは学生時代に奴隷になる約束をしていた……。
どうなってもいい、殺されるなら大好きな清美に殺されたい。
しかし清美は彼女をクマキという男と一緒になって責めさいなみ、さらに貸し出しも始めるのだった。
 

 主な責め
  拷問 猟奇 調教 スパンキング SM 奴隷 野外露出

 初出 ブログ版 ダイジェストのみとなっています。

著者からのメッセージ

『折檻部屋の風夏』は、 2013年5月6日からブログに27回連載した短編を加筆修正して刊行した作品です。

 東京の湾岸にある埋立地を主な舞台にしています。主人公の風夏は、どこにも行くあてがなくなり、所持金も乏しくなったので、唯一の知り合いである同級生・清美を訪ねます。

 その体格のいい清美に、学生時代に「奴隷にしてほしい」と願い、誓ってもいました。
 風夏の両親は事業で金持ちになっていたので、卒業後は疎遠になっており、奴隷になることもないままに過ぎていたのです。

 事業が多額の借金を残して潰れ、しかも両親は香港のゴミ捨て場で遺体となって発見されました。自殺となっていますが、風夏は誰も信用できず逃げ回っていたのです。

 清美は風夏を受け入れます。ただし奴隷として。
 清美は風夏を試すように、その体を酷使します。清美は埋立地にある古ぼけたアパートに住み、倉庫や運送をしている男たちの相手をしながら、自身もそうした仕事の手伝いをして生計を立てていました。
 中でも運転手のクマキとは仲がいいのです。清美とクマキは、風夏を軒先で飼うことにました。外飼いなのです。そして風夏は2人からさまざまな責めを受け続けます。

 それは風夏が願っていた快楽の世界でもありました。
 やがて風夏を貸し出すようになります。肉体労働に疲れた男たちの捌け口として、長時間勤務の合間の慰み物として。
 風夏に普通の愛し方は通用しないと清美が説明しているためか、男たちは過酷な責めで風夏を苛むのです。
 このままではいずれ殺される……。

 そんな状況が風夏をさらに深い快楽に引きずり込んでいきます。
 結末からして、続編があってもおかしくないのですが、いまのところ計画はありません。
 この作品のテーマはバイオレンスです。SMというよりも暴力です。理不尽な暴力に身をさらす風夏。愛も友情もありません。

 主人公をできるだけ救いのない状況に置いてみたい、と考えたのです。その点では『M穴地獄』とも通じています。ただ、『M穴地獄』は閉じた世界、収縮していくイメージがあるのですが、この『折檻部屋の風夏』は、拡張していくイメージ、外へ開かれていく感覚になっています。

 それでいて、タイトルに「部屋」と入れたのはなぜか?

 その解釈はお読みいただいた方に委ねます。

 一例として、風夏はどこにも身の置き場のない存在であり、彼女自身がいわば折檻部屋そのものというイメージなのです。人々は風夏の肉体に接すると、そこにあたかも閉ざされた空間ができるかのように、彼女をいたぶることに熱中してしまう。それが、アパートの裏庭だろうと、倉庫だろうと。

 また、風夏の魂は、ねじれた快楽に染まる彼女の肉体に閉じ込められているのです。それが彼女にとっての折檻部屋である。

 さらに、この世の中は、見ようによっては折檻部屋なのだ、との考えもあるかもしれません。

 風夏は清美に飼ってもらいたいので、必要以上に責めてもらおうとしますが、自分で思いもよらなかった激しい被虐地獄の扉を開いてしまったわけです。

 両親の件は、彼女をそこまで追い詰めるための設定なのですが、それが物語の方向性を決定付けています。
 バイオレンスというのは、抑圧された感情から噴き出す暴力であるとか、無自覚なうちに立場から繰り出す暴力、さらには理不尽な暴力も含まれると思います。

 世の中は平和で温かいところだという認識もある一方、過酷て理不尽で暴力的な面もあると思います。表側が温かく優しくなればなるほど、裏側の暴力は苛烈になっていくのではないか。そんなことを思いながら書いた作品です。

 なお、風夏の名は、フーガ(遁走曲)という音楽の形式からの連想です。逃げても逃げても、また同じ主題がどこかに現れる、というイメージですね。風夏は生涯、逃げ続け、そして同じようにバイオレンスの渦中にはまっていくのでしょう。

 ぜひ、お楽しみください。


 なお、ここで取り上げている作品はすべて、フィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。また、特定の団体、宗教、人種、性別などを誹謗中傷する意図はありません。

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